一日一工夫

苦手な家事を少しでも楽にするための試行錯誤の日々を綴っています。

ロンドンで職探し② 仕事をしていたときのこと〜日本の就労環境との違い

さて、雇用に関する諸手続きを終えて仕事についてからというものは、とにかくとにかく日本との就労環境の違いに驚かされました。
まずはスタッフ同士の呼び方。どんなに職制や年齢が上の人でも、ファーストネームやニックネームで呼ぶということに慣れるまで相当時間がかかりました。だって日本だったら上司のおじさまやおばさまをを例えば「けんちゃん」とか「はなちゃん」とか(笑)呼んでるのと同じですから、この人気を悪くしないかな・・・なんて最初はドキドキしてましたが、向こうにとっては普通のことなんですね。
次に驚いたのが終業時間。みな定時5分前くらいになるとコートを取りに行ったり、カバンに持ち物をつめたりし始め、定刻3秒後くらいにはもうオフィスを後にしています。ボスが真っ先にオフィスを後にする、なんてこともしばしば。
そして何といっても休暇の取り方です。年度末のある日、上司が書類を手に私を追いかけてきたことがありました。曰く「有給消化できてないわよ!どこを休みにするかこの場で言って!」私が新卒で入社した日本の会社では、有休消化できるのは病欠のときだけ、しかも取りきれなかった有給は賃金換算されることもなく捨てるしかない・・・という決まり(?)だったため、これには本当にびっくりしました。ちなみに病欠の際は有給を使う必要はなく、かといって給料から差し引かれることもありませんでした。最高半年分の賃金が支払われていたように思います。
私のしていた仕事はシフト勤務だったのでみんな公休日が違ったのですが、都合に合わせて休みを交換したり、人手の足りない日に出勤し、その日数分どこかで休んだり、賃金に換えたり、数時間分を使って早退する・・・などと自由に使うことも出来ました。そして何といっても、一度の休暇取得可能日数が最長21日もあったので、年に数回は日本に帰ってゆっくり家族やお友達に会ったり、病院や歯医者さんやその他色々な用事をこなすことが出来て本当に助かっていました。
私が働いていた会社はガチガチ(?)の日本の企業で、現地採用スタッフはこの恩恵にあやかれたものの、日本から駐在員として派遣されていた本社の社員たちはここまで柔軟に休みを取ってはいなさそうでした。おそらく非日本人を働かせようとしたら、このくらいの待遇でないと暴動でも起きかねなかったから、このゆるい(?)職場環境が実現したのだと思われます。
欠勤の理由がゆるすぎるのにも衝撃を覚えました。「頭が痛い」「ペットの具合が悪い」私がかつていた職場だったら殴られそうな理由でみな休んでいましたが、誰も気にするそぶりもなく・・・。ただ真面目な日本人たちはちょっと体調が悪いくらいでは休まないので、どうしても仕事量に差が出るということはありましたが、大して影響もありませんでした。そうそう、晴天の少ないイギリスのこと、最高にお天気のいい日はなぜか欠勤続出!などという笑えるような笑いごとですまされないような出来事もありました・・・。
仕事っぷりにも日本との大きな差が。よく言えばリラックスしてる、悪く言えば行儀が悪い!!!接客業でしたが、日本で働いてるスタッフが見たらホントにひっくり返ると思います。接客中に隣のスタッフと仕事にまったく関係ないことで話し込む、お客様が近づいて来ているのにスマホに見入ってて気づかない、カウンターにお菓子や飲み物を持ち込む・・・。ただ本当に不思議なことに、これを外国人がやってもなぜか怒られないんですよね・・・。日本人だったらあとでカスタマーサポートにクレームが入ります。なぜかその場では注意されずに・・・。
今、本帰国後に派遣で1社、その後はとある会社にご縁をいただいてアルバイトをしていますが、派遣社員も半年働いたら有給が付与されたり、私が渡英前に働いていた時からはだいぶ労働環境も変化してきたのかな?と感じました。ですが私のような下っ端は定時でサクサク上がれてお休みも好きなところに入れることが出来ましたが、正社員の人たちはたとえ誰にも文句を言われずに休みを取れたとしても、休んだことで自分の首をしめるとか、自分が休んでしまったらマジで仕事がまわらない、とかいう理由で全然休めていなさそうでした。私はおせっかいなので「それで大丈夫ですか?大変じゃないですか?」とことあるごとに聞いていましたが、みなさん一様に「いや、よくないです」と答えておられて心配になりました。
単純に欧米と日本を比べて「日本はダメ」などと言うつもりはまったくありません。でも、ロンドンで働いていたときの「仕事は二の次!何より大切なのは自分!!!」感は、もっと日本にも浸透してもいいかなと思うし、人々の幸福度も上がるのでは?と思うのです。もちろん、仕事そのものを愛していてやりがいを感じているのであれば話は別で、とても素晴らしいことですが。
実は本帰国後にお世話になった派遣先は給与面では恵まれていました。ただ、満員電車・・・。ホントに、どうしても無理だった。そして、平日の朝は時間が止まればいいのにって思うくらい1分1秒が貴重で少しでも家にいる時間を伸ばしたいと思っているのに、出勤したら同じ貴重なはずの時間が早く過ぎないかな〜早く金曜日にならないかな〜って思っている。この矛盾に耐えきれませんでした。
このまま経済的な余裕を取るのか?より自由で快適な時間を手に入れるのか?答えはあっけなく出て、今は自転車通勤圏内で仕事内容も興味を持てる会社にご縁をいただき働くことができています。時給も以前よりは低いし、出勤日数も減らしたのでお給料は激減ですが、心に余裕が生まれると他に本当にやりたかったことに取りかかる意欲も出て、毎日ほんのりと幸せな気分で生活が出来るようになりました。
働き方、生き方を見直して自分が人生で本当にやるべきことをやれるように、それが何なのかを見つけるお手伝いが出来る仕事をするのが今の私の夢、目標です。どんな形で実現するのか全然見当がつかないけれども、いつか実現したいです。